土地の歴史

直接高齢者の住まいに関係はないのですが、とてもおもしろい本でした。目からウロコが盛りだくさん(*_*)!地震、水害、台風、etc.と災害大国日本に住んでいると、「安全な地」はほぼ皆無といっていいかも。盲点なのは、東京23区など密集地のあちこちに危険な土地がとても多いこと。報道では大きな災害は報道されますが、実は各所でがけ崩れや液状化などが起こっているのですね。思えば、徳川家康が江戸を切り開いた時「こんなところに?!」と訝る人が多かったと昔本で読みました。地名を見ると、ある程度昔の土地がどういう状態だったかわかるそうです。なるほどー。私たちが今住んでいる土地、特に都市部は確実に昔は違う家や施設があったり、違う形状のものがあったりだったはず。土地の歴史は上乗せですから、その下に何があるか。長年住んでいる京都は、掘り返すたびにいろいろ出ます(;’∀’)。先日大阪でも膨大な人骨が出たとニュースになりました。普段何気なく「今」の街(土地)を踏みしめていますが、普通の日常に潜むリスクや下に埋もれた歴史、あるのですね。

 

世界は広い

本の話が続いてしまいますが、週末読み終えたのはこれです。ほとんど仕事や勉強に関係のある読書ばかりしているので、ちょっと息抜き。のつもりが!この本は厚さ約4㎝、700頁の大書。なんといっても重い(;’∀’)。池澤さんの本は、20代の頃読んだ「マシアス・ギリの失脚」が非常に印象に残っているのですが、昨今では文学集を編纂したり、新刊本の評論が多いようで、この本も長年某週刊誌に寄稿した評論をまとめたもの。問題は、全ての本が面白すぎて、読みたくなる(;’∀’)。幅広いジャンルでいかに自分がモノ知らずか認識させられるのです。とはいえ。自分の研究対象の本を中心にせざるを得ず、合間に読もうと抜粋して「息抜きで読む本リスト」にいくつか加えました。それにしても、この本のタイトル、こういうセンスが大好きです。

老後格差は機会格差による結果格差

タイトルに目を引かれて図書館で借りました。大学の先生が書かれた本にしては、研究書というより一般読者向けの読みやすい内容です。「格差」とは何か。大別して「結果の格差」と「機会の格差」がある。前者はわかりやすく言うと貧富格差、後者は教育や就職に平等な機会があるかということ。機会は結果の前提となるものなので、高齢期の格差はそれまでの人生における格差の結果ともなるわけなのですね。経済学者なのでさまざまな視点から分析されているのですが、健康格差=所得格差の例もあり、アメリカで55歳の人の平均余命と所得階級をデータ化すると、所得上位10%の人の平均余命は男性34.9年、女性35.3年、最下位10%は男性24.2年、女性25.8年と、なんと10年以上の差があります。なぜ経済大国アメリカの平均寿命が低いのかは、貧富格差(医療保険の未加入が多い)が最大の原因のようで、結果的に低寿命の多さが平均を低くしてしまうようです。なるほど。ただ、後半では「単身高齢者は不幸」論調気味なのでちょっと個人的には違うのでは~(^_^;)でした。

「毒親」の介護問題

昨日の8050はどちらかというと親が「自分がいなくなった後、引きこもりの子がどうなるか」という親の心配ですが、これはその逆といえるかも。「毒親」という言葉もここ最近で知られるようになりました。元は1989年に英国の医療コンサルタントであるスーザン・フォワード氏による造語ですが、幼少時から親による言葉や態度の暴力(体罰だけでなくメンタル面でも)を受けた子世代が、親の介護にあたり「どう対処するのか」がテーマとなっています。これも個々でケースが異なるので何ともですが、どんなに親に虐げられてきても、憎しみがあっても、どこかに愛情は残っている。この葛藤は当人にしてみると非常にストレスでつらいと感じます。公的介護サービスの利用は理想ですが、現実的にどんどん難しくなる。国は家族介護に舵を切ったなかで、親子関係の非常に悪い場合もあるのです。当然虐待につながる(幼少時とは逆)こともあるし、子の人生を最期まで潰してしまうことにも。8050と違って、制度としての支援がない。総合的な生活相談窓口は重要です。

待ったなしの8050

8050問題は報道により多くの人が知るようになりました。これは複数の事例のドキュメンタリーですが、事情は個別性が高く「なぜそうなったのか」は一概に語れない。不可抗力な理由もあるし、親に理由があることもある。でも『何か』がある。国も事の重要性を理解し、政策として調査や対策を進めていますが、まだまだ「縦割り行政」の壁も大きく立ちはだかると感じます。8050の当事者は、どこにも相談しない(できない)ケースが多く、親が介護状態になり、ヘルパーやケアマネが発見することも少なくないようです。厚労省は自治体の「生活困窮支援窓口」を相談窓口とするようですが、個人的にはちょっとズレてる感も。地域包括ケアの推進で、まるごと見て行こうということですが、専門職の不在や多忙を極める現場を鑑みると、非常に難しい問題です。80-50はいずれ90-60、100-70にもなる。左はなくなり右だけ残ることも。公的な支援(専門職)の存在は重要です。

介護保険は全ての人を救えない

内容的には少し古いのですが、介護保険が開始され5年後の最初の改正の時点ですでにかなりの問題(制度自体が持続できないのでは)が出されていたことが、今さらながら再確認。よくボロボロになりながら(笑)、続いている。著者は「介護の市場化」の問題を中心に労働面からも切り込んでいるのですが、個人的にも(私の周辺も実際介護に直面すると)この「市場化」は悪化の一途をたどっていると感じます。本のサブタイトルに「人は生きてきたようにしか死ねないのか」とりあますが、これが身につまされる。公的介護保険は、介護問題をオープンにした点はよかったと思うものの、確実に高齢期の生活の格差を広げていると思います。介護保険の仕組みを市井の人が理解できているか?煙に巻く方法で国と経済界がコントロールしだした。文中に、情報の非対称化(行政や事業をする側と一般消費者の情報量は大きく違う)が措置時代と比べ物にならないほど大きくなったとあります。以前某議員が「この程度の国民に対して、この程度の国会議員」と自嘲的に語ったという例を出し、介護でも同じことがおきていると。日本は民主主義なんだろうか。コロナ禍もあり多くのことを考えさせられた内容でした。

コロナ禍で考えさせられるコト

新型コロナに関する書籍が発行され始めています。これは5月上旬発行で、原稿は4月上旬頃のものなので、緊急事態宣言が出され緊迫感が高まるもののまだ状況が見えてない時期。大学教授以外に哲学者、医師、作家、ジャーナリスト、経済アナリスト、農民、など19人が様々な観点から分析、問題提起、今後考え行動すべきことなどをまとめています。この時点から3ヶ月経過の段階ですが、それぞれの見識は鋭い!と思うこと多々あります。コロナ関係なく、社会の綻びや将来の問題を多くの人は語っているのに、我々は「今」と「明るい未来」を見て「大丈夫だろう」と思い続けてきたのですね。私自身も以前から気になっていたもので、多くの著者が「食料問題」を上げています。日本の自給率の低さは将来大変な事態に繋がるのではないか。倫理の課題についても多く、中でも新型コロナは人間の感染が問題になっていますが、今まで鶏や豚インフルが発見されると、何十万頭という動物が感染の有無を問わず殺傷されてきた。同じことが人間にはできない、人間さえよければいいのか、という視点も。この辺りは難しい問題ですが、先週も話題にしたAIの暴走と併せて、我々のサバイバル(自活)能力が問われる今だと感じます。

単身高齢者の介護

大学の先生編著で、介護・福祉現場にいる人々が寄稿している内容です。単身者の高齢期の話題で事例も多くちょっと身につまされる(苦笑)部分も多いのですが、問題意識は誰もが共通でもつところですね。福祉も介護も制度が後退していることは、一般国民もしっかりわかっているはず。政策(国)は、言葉遊びで「安心・安全」や「誰もが暮らしやすい社会」などアピールしますが、昨今のコロナ対策と同じで、もう誰も信頼していないのではないだろうか。本の中でも、介護保険の毎回の巧妙な改正(改悪)に対し、「…サルを手なづける朝三暮四を連想させる。国民をバカにした手法によって、連帯の輪を崩そうとしているとの思いをぬぐえない」と手厳しく非難しています。このような文献を読むたび、自分の中でも怒りや無力感がわいてくるので、もう読むのはやめようと思いつつ(;’∀’)、手に取らざるを得ない。未来は制度ありきでなく、「制度なし」で考えないといけないんでしょうかねぇ…。

集合住宅の本質

高齢者住宅とは少し違うのですが、マンションの老朽化(建物自体と住人という2つの視点)という問題において、なるほど!な考察でした。私自身、分譲マンションを新築購入し22年目、確かに将来において少しずついろんな不安(出口をどうするか)を感じ始めていたところでした。一般的に日本の基準では、コンクリート寿命は60年、きちんとメンテナンスすれば100年は持つそうです。しかし、住民の高齢化や諸問題でメンテナンスできないマンションが増加している。高齢者も一戸建てを処分し、便利な街中のマンションに住み替えるという人が増えていますが、本当に終の棲家になるかどうかは、事前にあらゆる角度からチェックが必要です。今までマンションの利便性・効率性に軍配ありと個人的には考えていたのですが、さもあらず。老人ホームも当然一種の集合住宅ですから、建物寿命(メンテナンス状態)をしっかり確認することが大切です。しかし欧州には築400年という現役建物もあります。日本の「建て替えありき」住宅は問題ですね。

我が道を行く!独居老人

書籍シリーズです。2013年発行で少し前のものですが、なんとも表紙(ゴーギャン?)とタイトルがインパクトあります。著者は男性誌「ポパイ」や「ブルータス」の元編集長、ある意味凝った内容です。著名人ではないけどかなり特異な独居高齢者16人にインタビューをした内容で、中にはギョッとするものもあり(;’∀’)、とても「高齢期の暮らし方」の参考になる内容ではないのですが(苦笑)、「こんな人もいるのか!」と視野を広げてくれるともいいましょうか…。我々はついつい他人の目を気にし過ぎたり、横並びの生活を意識しがちですが、他人様や社会に迷惑をかけなければ、「自分の生き方」で自由にのびのび、老後を過ごすのもいいかも、と思います。いや、とてもこの方々の真似はできませんけど(;’∀’)…