専門職による浴室確認

来年の介護報酬改正の中で、新たに入浴介助に関する加算を通所介護で設定する検討がされています。リハビリ職員などが利用者宅に赴き、浴室の環境をチェックし、個別入浴計画を作り実施することに対し、加算(保険点数の上乗せ)をするというものです。コロナ禍においても、特例でデイの職員が利用者の自宅を訪問する機会が設けられましたが、特にリハビリの専門職による住環境チェックはとても重要だと思います。住宅内の環境を改善することによって、今までできていなかったことができるようになったり、危険性を除いて心身の悪化を防いだり、自立の基本のキだと思うので、むしろ介護保険創設当時に、まず住宅確認を必須としたらよかったのに!と思うぐらいです。一方でハード面(設備)の整備だけで大丈夫とも言い切れず、緊急時の連絡や早期発見といったソフト面もいかに整備していくかがこれからさらに重要かと思います。

何のための制度?

介護保険改正に際し、財務省からまたいろいろ提言が出されていますが、訪問介護(身体介護)の利用回数についても届出をすべしの案が出てきました。前回、訪問介護(生活援助)の回数を実質制限すべく届出制が通りましたが、その結果、援助→身体につけかえるケースが出ているからとのこと。おそらく点数稼ぎのための事業者もいるでしょう。でもそれよりも、実際必要な人がとても多いという状況を考えられていないのでは、とかなり訝ります。全体を制限するのではなく、問題のある部分だけを指導すればよいことでは。独居高齢者が増加し、認知症を含む要介護者が増加している中で支援を削るという観点のほうがおかしいのです。また福祉用具も杖などを貸与でなく購入にと財務省案。でもなぜ貸与なのか、なぜ購入なのかという、制度創設時の基本的考えを再確認してほしい。きちんとした理由があるからです。何のための「公的」介護保険なのか、財務省には根本的に考えてほしいといつも思ってしまいます。

付き添いという介護

急激に最近寒くなりました。なんだか秋がすごく短かったような。そしてコロナの動向も心配です。来年は介護報酬改定の年なのでそろそろ大詰めですね。今回は今迄のようなダイナミックな改正は見当たらないものの、マイナーチェンジは多くあります。改悪が多い中で、プチ改善も(;’∀’)。介護ヘルパーさんの通院付添は細かいルールもあり、決して使い勝手がいいわけではありませんが、自宅起点でなくてもよくするようです。たとえば病院のハシゴ(苦笑)や、デイサービス等他のところからの付き添いもOKにするとか。ただし病院内が含まれないのまそのまま。でも病院で心身の衰えた高齢者が1人で話を聞き移動するのは難しいですよね。福祉職の人が付き添っている姿もよく見ます。ルール化はもちろん重要なのですが、あまりにも意味不明な線引きも多く、臨機応変な利用を願いたいところですね。

29泊ルールの隙

在宅介護サービスのひとつ「ショートステイ」は、最長29泊30日というルールですが、実際にはもっと長く利用する人もいます。29日までは介護保険で利用し、その翌日1日は「全額自費」、そしてまたその次の日から連続利用…を繰り返す。なんとも制度の隙をつくという感じでしょうか。これが要介護の人のみ対象で、要支援には適用がなかった、連続で使えるということを今さら初めて知りました(^_^;)。今回の改正案で要支援も同様に29泊ルール適用という方針ですが、そもそもズレている議論ではないかと感じます。それだけ長期利用が必要な人がいるということは、ショートステイが必要なのではなく、住居としての施設(特養等)が必要ということですよね。介護施設に限らず、私の研究対象の自立型高齢者の居住についてもそうですが、日本の「施設に補助」ではなく「本人に補助」をすれば、公的施設でも民間施設でも使えるようになります。でも。根強い日本の旧態依然とした国策の影ですね(-_-)…。

介護保険費用の複雑さ

朝は冷え込む日もあり、「秋」を感じるこの頃です。先日業界ニュースを見ていますと、介護保険のサービスコードが2000年の発足当時の1745から今年20,4905と14.27倍も増加したとのこと。サービスコードは、介護サービスの種類・項目ごとに付けられる数字で費用の元になるもの。新しい種類ができたり、加算導入などが要因とか。現場の事務作業が非常に煩雑なのがわかりますし、こんな複雑になるとますます介護を受ける利用者のほうが理解できませんよね。制度も仕組みも、変更するときは以前のものをいったんなくすようにすればいいのに、既存のものも置いた上で特例や付加するので本当に複雑怪奇になってしまいます。高齢者の施設・住宅も同様です。ということは、、、これからもっと「ワケわからん」状態になるのでしょうねぇ(ヽ’’ω`)…

介護保険料滞納者2018

毎年報告される「介護保険料の滞納」ですが、先日公表された2018年度の1年間では、滞納による「差し押さえ」が19,221人で過去最高とのこと。前年対比で3,223人多く、120%です。厚労省は、詳しく分析していないので要因は答えられないといいつつ、経済的に苦しい人が増えたことが影響している可能性もあると思われます。偏向報道といいますか、「高齢者はお金があるのだから負担を多くすべき」という世論形成がなされ、世代分断を誘導していると感じるのですが、年代に限らず本当に厳しい生活を強いられる人は決して少ないとはいえません。ゆとりのある人にまで補助をする必要はまったくないと考えますが、年齢で一律にルール化せず、実態をきちんと調査して人権を守れる制度にしてほしいものです。

地域総合事業と介護区分

要介護区分による介護保険利用は常に議論になっておりますが、前から出ている見直し案「要介護認定者でも地域総合事業を利用できる」について、厚労省は、「要介護給付を制限するのではなくあくまでも利用者のサービスの選択肢の幅を広げる」と見解を述べているようです。これは省令改正で来年4月から実施される予定ですが、どうも官僚の話は「国民のため」にしていると思えない(苦笑)歪んだ心の持ち主のワタクシで、結果的に議論されている要介護1・2も地域総合事業へという案の布石ではないかと穿ってしまう。私の周りでは、介護認定がされにくい、サービス利用がなかなかできない、という声も決して少なくありません。さらに使いづらくなっていくとしたら…。持続可能性がよく取りざたされますが、目的が「持続」だと本末転倒ですよね。
*昨日のBlogでお知らせした10/17講座の増設が再びほぼ満席だそうです。いったんキャンセル待ちになりますが、ウェイティングが増えましたら3回目の増設予定だそうです。

 

目立たない制度の改悪

介護保険を含む福祉系制度の改正が目立たず細々となされています。そのひとつに、重度介護の方を在宅でケアしている家族には助かる「おむつ支給」が難しくなるかも。これは介護保険以外の任意事業として自治体が独自に行っているものですが、多くの自治体は「おむつ」補助をしています。金銭的補助だったり、交換券だったり(ケチな京都でもやってます)。これまでは、任意事業としてその費用は国、都道府県、市町村、第1号保険料から賄われており、そのもっとも比率の高い40%弱を国(税金)が拠出していました。しかし、21年度からは市町村独自の財源か第1号保険料を使うかの2択になります。結果的に「継続不能」になる自治体が多いとされており、在宅介護の厳しさが増します。もともとおむつ支給は住民税非課税などが対象なので、低所得層の介護にさらなる金銭的負担を突き付けることになります。ジミな制度なので報道などされない内容ですが、こういった小さい改悪は多々あるのです。

特定施設も福祉用具貸与?

高齢者住宅(施設)は、選んだ施設により適用される介護保険の種類が異なりますが(特定施設or居宅サービス)、次期介護保険改正で、「特定施設で福祉用具貸与の利用を可能に」という要望が医師会などから出ているそうです。特定施設(おもに介護付有料老人ホーム)や認知症グループホームなどは、介護保険が包括型(1日単位の費用が固定→1ヶ月の費用が固定)で、その施設から介護全部が提供されるものです。費用が固定でメリットがある反面、自分で介護サービスは選べない(外のデイサービスに行きたい、福祉用具を借りたいなど)がデメリット。従って、施設側が福祉用具も用意しますが、当然その種類は限られます。主に介護ベッドや車いすなどが中心。ただ、介護が重度化すると、必要な福祉用具もその人によって違ってくることも少なくなく、日々をより快適に過ごせるようにと考えると、福祉用具を多用に使えるのはいいと思います。一方で、それは利用者の負担も上がるということで、全ては「お金」次第ということですね(^_^;)。

介護は高齢期にお金がかかって当たり前

令和3年度介護報酬改定に向けて(厚労省社保審:2020.6.1)

1ヶ月ほど前の資料のデータから拾ってみました。医療費ではよくこの年代別グラフを持ち出して、「高齢者は医療費がかかる!」が演出されるのですが(まあその通りとしても)、介護も同じようなデータが出てきました。こんなの当然ですよね(;’∀’)。そのための「保険」ではないのか。だいぶ以前にも記したと思うのですが、人間1人が赤ちゃんから老人になって世を去るまでの間にかかる社会保障費を分析すると、最初と最後はコストがかかるのです。これを補うのが、自分が働ける間。昨今「高齢者の負担を増やして、現役世代の負担を減らせ」論調が多いですが、これは結局将来の自分の負担を増やすことになり、同じ穴の狢なんですよね。もちろん、以前のように今後経済や社会環境が右肩上がりであれば、いいのですが、もしそうなるとしても社会保障費用を賄うには相当な年数が必要になってくる。経済と一緒で、国も目先のことしか考えないのかなぁ、と最近の「お金がないない」資料を見ていると思ってしまいます。