介護は高齢期にお金がかかって当たり前

令和3年度介護報酬改定に向けて(厚労省社保審:2020.6.1)

1ヶ月ほど前の資料のデータから拾ってみました。医療費ではよくこの年代別グラフを持ち出して、「高齢者は医療費がかかる!」が演出されるのですが(まあその通りとしても)、介護も同じようなデータが出てきました。こんなの当然ですよね(;’∀’)。そのための「保険」ではないのか。だいぶ以前にも記したと思うのですが、人間1人が赤ちゃんから老人になって世を去るまでの間にかかる社会保障費を分析すると、最初と最後はコストがかかるのです。これを補うのが、自分が働ける間。昨今「高齢者の負担を増やして、現役世代の負担を減らせ」論調が多いですが、これは結局将来の自分の負担を増やすことになり、同じ穴の狢なんですよね。もちろん、以前のように今後経済や社会環境が右肩上がりであれば、いいのですが、もしそうなるとしても社会保障費用を賄うには相当な年数が必要になってくる。経済と一緒で、国も目先のことしか考えないのかなぁ、と最近の「お金がないない」資料を見ていると思ってしまいます。

24時間介護:要介護5で平均3回弱/1日

6/1社保審介護給付費分科会(6)定期巡回・随時対応型訪問介護看護の サービス提供状況に関する調査研究事業 (結果概要)(案)より

先週の社保審介護給付費分科会の資料は、次回の改正に向けてなかなか興味深い資料も多くありました。コロナの件もあるので今後どうなるか未定も多いでしょう。定期巡回・随時対応訪問介護(24時間介護)のデータを見て、まだ全国で1000事業所弱。伸びないですね。以前、デンマークの施設から在宅シフトの際には事前に24時間訪問介護が全国整備されてから在宅に移したと書きましたが、日本はなかなか追いつきません。平均数字でしかないですが、1ヶ月の訪問回数(同一建物外=一般住宅)がほとんどの要介護度で前年より減っています。職員不足の現れでしょうか。要介護5だと1ヶ月に85.4回、1日にすると2.8回程度。別の頁の世帯構成を見ると、約83%が独居です。これは同一建物(サ高住等)も入っているかもしれませんが、ほとんど独居で要介護5で1日3回弱で不足はないのだろうか。これ以外にも「サービスの質」評価資料なども「ADLの向上」が中心視点となり、介護保険の基本的理念とはちょっとズレてませんか、と思わざるを得ないのですけどねぇ(;’∀’)。

介護事業所の指定取消

京都鴨川河川敷の立て札。でもこの隙間で遊んでいる人もいました。密でなければいいのでは…

河川敷にミニグランドがいくつかあり、高齢者がペタンク、子どもの遊び、中高生がサッカーの練習したりしていますが、コロナで「使うな」と。外だし密集しなければ運動のためにも使えればと思うのですが、甘い考えですか…。さて、厚労省公表によると、介護保険開始以来2018年迄で、介護保険施設・事業所で指定取消処分や効力停止処分になったところは、累計2595事業所にもなったとのこと。2018年だけで見ると前年対比で減少したようですが、指定取消理由は「介護給付費の不正請求」が最も多く、書類の未提出や虚偽の報告が続いています。運営法人別では、営利企業が88.6%とほとんどを占めている状況。市場化で「儲かる福祉」の現れとも。中には悪質なものもあります。介護現場職員が日々重労働を送っている中で、経営者のモラルを問われる内容。一方、複雑化した事務処理も課題で、悪意のない間違いのケースもあると思います。制度も仕組みも複雑化過ぎることも一因。シンプルにして誰もが間違いや違法を発見しやすい環境にしてほしいものです。

介護保険は全国一律?

21年度介護保険改正は6日に閣議決定されました。土曜の日経一面でちょっと気になった記事。厚労省に情報公開請求して調べたとのこと。要介護認定の判定を2次審査で自治体独自の変更を加えている地方が、18年10-11月の904市町村で829ヶ所。新聞の論調は「全国一律という前提が崩れる」と否定的。利用者にも取材し「引っ越しただけで介護度が変わった」など書かれていました。でも。市町村の状況が異なるので、変更を加えるのはありではないのでしょうか。そもそも「全国一律」で同じサービスを受けられるケースがあったためしがない。それならサービス全種を全市町村に配置すべきでしょう。国の指針では「介護の手間を基準とし病気の重さや同居人の有無を理由に変更できない」としている(?)らしいですが、訪問介護の家事支援は有無を前提にしているではないか。産業界寄りの日経の論調になるとはいえ、一面トップ記事でねぇ( ̄д ̄)…と思った次第です。

認定調査員の要件緩和

介護認定の件数が非常に増えているため、認定期間が延長し続けられていますが、今度は認定調査員の資格要件が緩和されます。対象は医療従事者など21種で、介護現場での実務経験が5年以上とのこと。実務経験というのも曖昧です。医師や歯科医師が直接介護をするわけではないでしょうし、栄養士も然り。間接的には「介護が必要な人」に接しているとはいえ、介護認定に関わる知見がどこまであるのか。国は、認定調査の質の担保、向上を図る観点から、担当者にベテランを加えたり、研修会を開催する工夫を自治体に要請している、とのことで自治体任せ。それほどの余裕のある大きな自治体もあれば、小さい自治体もあります。また地域格差が拡がっていくということでしょうか…。

消費税から介護

消費税増税は社会保障財源にあてるという名目ですが(これには歪んだからくりアリの話は以前書きましたが、おいといて…)、この中から今年度・来期と介護分総額各824億円の予算。市町村が地域にあわせて活用し、来年度は特定施設(介護付有老ホームなど)にも補助を出すことが可能になるらしい。高齢者住宅(国交省含め)への税金投入は、事業者に補助されることが多く、入居者(国民)にほぼ利がないので、国民への福祉より経済対策か…と訝ってしまいます。次期介護保険改正では、特養入居が低所得層でも大きく負担が上がるのですから。また、ボランティア確保のために、運営を手伝う人にはボランティアポイントをこの財源を使って出せるようにする案も。ひとつのきっかけにはなると思いますが、「人材確保対策」としては、小ぶり感を否めませんね(;’∀’)。消費税増税の行方、うさん臭くてなんだかなぁ、です。

介護保険改正案(12/16版)

昨日社保審介護保険部会が開催され次期案が絞られてきました。特養等介護保険施設の補足給付を、年金収入120万円超を対象に月額2,2万円の自己負担を求める方針。さらに「預貯金1千万円」ボーダーを1/2の500万円に!少し前は600万円案でしたが。年金120万円超というのは雑所得の年金控除を超える人ということで厳しすぎです。特養入居を入り口で大幅削減するのか。特養はお金持ち用になってきたのか。Netの一般コメントもさすがに否定的な意見が多いです。誰も好んで要介護になっているわけではない。もはや我が国では介護になることが恐怖以外の何物でもない、という感じですね。ちなみに要介護1・2の地域移行、原則2割負担、は次期へ見送りとか。あと、高所得世帯の高額介護サービス費の上限が非常に高額に引き上げられます。まだまだ年末まで何が出るやら…。やれやれ…

地域の裁量に?

先週の社保審介護保険部会で「総合事業の対象者・報酬設定」について、市町村のルールを緩和する方向が出たようです。詳細は未定ですが「要支援限定対象を要介護の人も除外せず」と表現されています。なんと優れたレトリックでしょう(苦笑)。財務省は「要介護1・2も地域総合事業へ」といって憚りませんが、厚労省はさすがに1・2を軽度と言えない。制度自体を変えてしまうより、『地域行政の裁量に任せるから、やんわりと要介護の人も総合事業に移したら?』的な発想でしょうか。さすがに頭の良い人は考える(皮肉です)。表現的には「弾力化」と言っています。まあ「効率化」とか「平準化」とかと併せて、まるでいいイメージですが、実態は…。さらに「要支援から要介護になるとサービスを切り替えねばならず、せっかく作った地域との関係も切れる」という声があがっている、というのですが、それって逆も然りですよね。いかに「都合のいい部分を抜き出す」か、よくわかります。┐(´д`)┌ヤレヤレ

ケアプラン有料化見送りか

今年は紅葉が少し早いように感じる京都です。さて、1週間前の話で少々遅れてますが(;’∀’)、次期介護保険改正案「ケアプラン有料化」は今回盛り込まない方向のようです。個人的には恒常的に10割保険で進めるべきと思っています。一般的に「有料化すればケアマネの意識が高まる」と言われますが、有料化(自己負担)してもしなくても事業所に入る総報酬は変わらない。ましてケアマネの月収にも変化ありません。そもそもケアマネの品質確保はお金だけの問題ではないのがこの20年ではないでしょうか。ケアプラン自己負担化は、有益どころか問題ばかりだと感じます。「介護」をどこまで市場化・サービス化するつもりなのでしょう。介護は人権尊重にも関わる部分。お金の有無でその人の生活基盤を揺るがしてはいけない。社会全体を俯瞰すると、イヤ~な世論形成を感じます…。

介護認定の有効期間

次期介護保険改正案。介護認定を受けると、その後「認定更新」が必要となります。当初は6ヶ月~最大24ヶ月が認定期間でしたが、前回改正時、最大36ヶ月(3年)まで可能となりました。今回の案はなんと最大48ヶ月(4年!)。確かにもう回復の見込みがないであろう寝た切りの方などはありえるかもしれませんが、延長する理由がどうも①申請から30日以内に認定を出す(法律上)はずが、現在平均日数40日と遅れている(実際聞くところでは2ヶ月かかっているところも多い)。②さらに認定調査員が不足。この点についても改正案で、現行委託可能なケアマネジャーだけでなく、それ以外(資格については未定ながら「要件緩和」とのこと)も許容する。介護制度の品質確保といいつつ、これでいいのだろうか。社保審の委員が昨今経済団体からも選定されており、委員からはおおむね了承されたということで、なんとも気持ちの悪いものが残ります…。