介護保険囲い込み防止

厚労省は高齢者向け住宅での過剰介護を防ぐための監視を10月から強化するとの報道がありました。対象はサ高住が中心のようで、以前から問題視されている「囲い込み」(住宅運営グループの介護サービスを大量に使わせる)を防止する。これまでは介護報酬減額で制限をしてきましたが、利用自体を制限させる方向でしょうか。介護費が適正に給付されているかを自治体が調べられるシステムを改修し、毎月の利用限度額に対する実績が一定割合を超える場合疑うということですが、どうも腑に落ちません。不要な囲い込みは確かに問題ですが、本当に必要な人まで「一定の割合」で区切っていいのでしょうか。どうも介護保険はますます本来の目的からずれた運用になってきているように感じます。話はずれますが、新聞の記事に「サ高住は60歳以上であれば介護が不要でも入居できる賃貸住宅」と書かれていましたが、実態は違う(65歳以上や要介護認定が必要など)条件のほうがずっと多いので、正確に伝えてほしいもんです。

介護保険料滞納→差し押さえ

昨日の日経朝刊社説に、介護保険料滞納→差し押さえに関する内容がありました。社会保障に対しネガティブな日経の割には(苦笑)、最近社会弱者への課題の内容も見られるようになったと感じます。さて、介護保険料未納の差し押さえ。私も過去に何度かお伝えしてきましたが、2018年には19221人と2万人近くに増加(前年比で20.1%UP)。普通徴収(天引きでなく自分で支払う)は高齢者人口の1割、約340万人にも及ぶとのこと。普通徴収は年金年収18万円以下、つまり月額にすると1.5万円。介護保険料は基本料から所得に応じて低減されますが、被生活保護者でない限りゼロにはなりません。非常に負担が重い。もちろん年金はほとんどないけど事業収入があるという人もいるでしょう。しかしそんな人はごく一部と思われます。我々は普段自分の周辺にいる人が「普通」と思いがち。でも、目立たず実は多くの経済的困難な人が(高齢に限らず)いることを決して忘れてはいけないと感じます。

4月からの介護報酬改定

4月の介護報酬改定の算定構造詳細が、18日の社保審介護給付費分科会資料でUPされています。一般生活者があまりこれを見ることはないと思うのですが、ともかく細かすぎてわかりづらい。これを計算するケアマネさんも大変です。全体で0.7%UPということで、今回はあまり偏りなく引き上げられているようです。気になる特定施設(介護付有老ホーム等)ですが、2~3単位のUP。入居者の介護負担は月にして1割負担の人で60~90円程度です。介護付有老は包括報酬(定額制)なので、改定の際に利用側からするとあまり値上げ感はないと思います。在宅でさまざまなサービスを組み合わせて利用する場合は、それぞれの上昇があるので、「値上げ」を実感できるかもしれませんね。利用する側は負担を少なくしたい、でも経営を考えると報酬は多くしてあげたい、とてもジレンマな介護報酬改定です。

無資格介護職にも研修義務

来年度の介護保険改正で、「無資格の介護職員にも全員『認知症介護基礎研修』の受講を義務付」される予定(経過措置3年)だそうです、カリキュラムは6時間で、認知症対応の基本、介護の留意点などを学習する内容。コロナ環境もありますが、オンラインでの学習も可能とするようです。ちなみに、昨年度の調査では、介護や看護に関する資格をまったくもっていない介護職は全体の6.1%とのこと。医療介護に関わる人だけでなく、国民全体が認知症や介護のことを学べる機会をもっと多くしたほうがいいと感じます。勉強量が増えて大変ですが、義務教育時にあってもいいかと思ったり。社会全体の質をあげるには全員の知識習得が大切ですね。

おむつ給付のその後

以前のブログ9月15日で、地域支援事業の任意事業としてほとんどの市町村が実施している「おむつ給付」は来年度から廃止になるところがほとんどになるのでは、と書いたのですが、先日厚労省は、財源カット(市町村独自財源切替)を2024年3月まで、つまり介護保険事業1期分は延期することにしたようです。「低所得世帯等への影響を考慮しつつ、任意事業としての事業の廃止・縮小に向けて云々…」を要件としての再度の延長とのこと。おむつなど衛生用品は重度要介護の人にとって経済的負担は決して軽くありません。延長でなく継続が妥当と思うものの、医療費・介護費は負担をめぐる議論はつきませんねぇ…。

専門職による浴室確認

来年の介護報酬改正の中で、新たに入浴介助に関する加算を通所介護で設定する検討がされています。リハビリ職員などが利用者宅に赴き、浴室の環境をチェックし、個別入浴計画を作り実施することに対し、加算(保険点数の上乗せ)をするというものです。コロナ禍においても、特例でデイの職員が利用者の自宅を訪問する機会が設けられましたが、特にリハビリの専門職による住環境チェックはとても重要だと思います。住宅内の環境を改善することによって、今までできていなかったことができるようになったり、危険性を除いて心身の悪化を防いだり、自立の基本のキだと思うので、むしろ介護保険創設当時に、まず住宅確認を必須としたらよかったのに!と思うぐらいです。一方でハード面(設備)の整備だけで大丈夫とも言い切れず、緊急時の連絡や早期発見といったソフト面もいかに整備していくかがこれからさらに重要かと思います。

何のための制度?

介護保険改正に際し、財務省からまたいろいろ提言が出されていますが、訪問介護(身体介護)の利用回数についても届出をすべしの案が出てきました。前回、訪問介護(生活援助)の回数を実質制限すべく届出制が通りましたが、その結果、援助→身体につけかえるケースが出ているからとのこと。おそらく点数稼ぎのための事業者もいるでしょう。でもそれよりも、実際必要な人がとても多いという状況を考えられていないのでは、とかなり訝ります。全体を制限するのではなく、問題のある部分だけを指導すればよいことでは。独居高齢者が増加し、認知症を含む要介護者が増加している中で支援を削るという観点のほうがおかしいのです。また福祉用具も杖などを貸与でなく購入にと財務省案。でもなぜ貸与なのか、なぜ購入なのかという、制度創設時の基本的考えを再確認してほしい。きちんとした理由があるからです。何のための「公的」介護保険なのか、財務省には根本的に考えてほしいといつも思ってしまいます。

付き添いという介護

急激に最近寒くなりました。なんだか秋がすごく短かったような。そしてコロナの動向も心配です。来年は介護報酬改定の年なのでそろそろ大詰めですね。今回は今迄のようなダイナミックな改正は見当たらないものの、マイナーチェンジは多くあります。改悪が多い中で、プチ改善も(;’∀’)。介護ヘルパーさんの通院付添は細かいルールもあり、決して使い勝手がいいわけではありませんが、自宅起点でなくてもよくするようです。たとえば病院のハシゴ(苦笑)や、デイサービス等他のところからの付き添いもOKにするとか。ただし病院内が含まれないのまそのまま。でも病院で心身の衰えた高齢者が1人で話を聞き移動するのは難しいですよね。福祉職の人が付き添っている姿もよく見ます。ルール化はもちろん重要なのですが、あまりにも意味不明な線引きも多く、臨機応変な利用を願いたいところですね。

29泊ルールの隙

在宅介護サービスのひとつ「ショートステイ」は、最長29泊30日というルールですが、実際にはもっと長く利用する人もいます。29日までは介護保険で利用し、その翌日1日は「全額自費」、そしてまたその次の日から連続利用…を繰り返す。なんとも制度の隙をつくという感じでしょうか。これが要介護の人のみ対象で、要支援には適用がなかった、連続で使えるということを今さら初めて知りました(^_^;)。今回の改正案で要支援も同様に29泊ルール適用という方針ですが、そもそもズレている議論ではないかと感じます。それだけ長期利用が必要な人がいるということは、ショートステイが必要なのではなく、住居としての施設(特養等)が必要ということですよね。介護施設に限らず、私の研究対象の自立型高齢者の居住についてもそうですが、日本の「施設に補助」ではなく「本人に補助」をすれば、公的施設でも民間施設でも使えるようになります。でも。根強い日本の旧態依然とした国策の影ですね(-_-)…。

介護保険費用の複雑さ

朝は冷え込む日もあり、「秋」を感じるこの頃です。先日業界ニュースを見ていますと、介護保険のサービスコードが2000年の発足当時の1745から今年20,4905と14.27倍も増加したとのこと。サービスコードは、介護サービスの種類・項目ごとに付けられる数字で費用の元になるもの。新しい種類ができたり、加算導入などが要因とか。現場の事務作業が非常に煩雑なのがわかりますし、こんな複雑になるとますます介護を受ける利用者のほうが理解できませんよね。制度も仕組みも、変更するときは以前のものをいったんなくすようにすればいいのに、既存のものも置いた上で特例や付加するので本当に複雑怪奇になってしまいます。高齢者の施設・住宅も同様です。ということは、、、これからもっと「ワケわからん」状態になるのでしょうねぇ(ヽ’’ω`)…