経済と政治と命の値段

「新自由主義の暴走」(2020:早川書房/ビンヤミン・アッペルバウム)

600頁近い大書でしたが賢くなった気がします(笑)。米国がこの50年ほどでいかに政治と経済学者がからみあってきたか。当初は「経済学なんて」だった考えが、みるみる政治に活用(ときには悪用)されてきた流れがわかります。中でも驚いたのは「命の値段」。さまざまな制約(規制)のために、経済学的に人の命の値段と経済便益をはかる手法で決められた。日本のニュースでもよく「経済効果が〇〇円(増えた・減った)」という表現がありますが、いつもどうやって計算してるんだろうと思っていましたが、なるほど。それにしても命の値段が政治的に使われるとは恐ろしい。「高齢者は先が短いから一般的な命の値段から37%割引するべき」論まで出て(◎_◎;)、さすがにAARP(全米退職者協会)が猛反発!などの話もありました。実は日本ではオープンになっていないだけで、舞台裏では行われているのでしょうか。あとがきの「社会を評価する基準はピラミッドの頂点ではなく、最低辺にいる人々の生活の質だ」という言葉が響きました。10年後、20年後、世界はどうなっているでしょう。