成年後見制度は充分理解を(2)

「成年後見制度の闇」(2018:飛鳥新社)を読んで

私のセミナーでも「後見制度」の話はよくしており、過去にも何度と書きましたし、私は実親の「任意後見人受任者」です。セミナーで話す理由は、万が一親が認知症になって成年後見人が必要となった場合、子がなれないケースが多いため、「事前の任意後見契約がベター」ということをお伝えするため。裁判所のデータが物語っています。本制度が開始した2000年、後見人は子が9割程でした。最近は1割強、他親族を含めても2割強です。ほとんどの人が認知症になってから「法定後見」を家裁に申し立てますが、家裁は子の横領を防止するために、1000万円以上(東京は500万円以上らしい)の金融資産がある場合、職業後見人(弁護士、司法書士等)を任命する。いったん決まると、余程のことがない限り一生続き、全ての権限が後見人に移ってしまう。当然毎月報酬が一生発生。最低でも月2万円。親の年金で子供が世話をしたいと思ってもいちいち後見人にお願いしないともらえない。一般的に職業後見人から生活費10万円という暗黙のルールがあるらしいですが、介護サービスやその他利用で不足する家族がとても多い。問題は①法定後見では家族が後見人になれるケースが少ない、②職業後見人には一生報酬が必要(財産が多いと報酬も増える)、③本人・家族が後見人の許可なくお金やその他を自由にできない。<続く>

成年後見制度は充分理解を(1)

「成年後見制度の闇」(2018:飛鳥新社)

読み始めてから胸がザワザワしました(;´∀`)。考えることが多いので、何回かに分けて記してみたいと思います。まず基本として、とても参考になる内容なのですが、反証も踏まえる必要があります。私もまだまだ制度の勉強を進めようと思います。ただ、この中の事例は、私自身一般人から「大変困っている」と相談を受けたり、知人の後見業務をしている専門家からも業界の問題を多々聞いているので、あながち誇張ではないと思っています。制度トラブルを、本人・家族側から書いた内容ですが、逆に本当に本人・家族にとって第三者の後見人をつけなければ命や生活の質に関わるというケースもあります。100%本の内容を受け取ってしまうと、「後見制度は怖い、悪い」「職業後見人(弁護士や司法書士)は悪徳ばかりだ」となりかねないことは危惧しますが、反面、悪徳後見人及びその周辺を固める裁判所や自治体の「ワナ」にはまると地獄です。それは私自身もリアルに聞いている。と、前置きが長い1回目ですが、何回かに分けてポイントを語ってみます。高齢者ご本人、高齢者を持つ子世代、一読をお勧めです。

 

MCIのさらなる分化

「老年期の心理査定と心理支援に関する研究」(2020:渡辺恭子)風間書房、50

一昨日の続きで話はがらりと変わり、最近一般的になってきた軽度認知障害(MCI)は、研究上さらに分解されて、軽度から重度に移行する傾向がわかってきたようです。アルツハイマー型認知症に移行するのは、MCIでも記憶障害があるタイプがもっとも多いそうです(まあ当然ですよね)。ところが、Non-aMCI(記憶障害がない)タイプでも、アルツハイマー型への移行は多く、レビー小体型や前頭側頭型への移行が推定されるとのこと。うーむ、結局軽度でも重度になる可能性は低くはないということですね。研究データによって若干異なるようですが、MCIから認知症に移行する率は年間10~15%のようです。それにしても、さまざまな認知症スケール(検査)がありますが、私なんかは、どれを試してもボーダーラインに引っ掛かりそうに思いますけど(苦笑)。そんなに検査の内容、覚えてられません(;´∀`)。

老齢期の心理

「老年期の心理査定と心理支援に関する研究」(2020:渡辺恭子)風間書房

タイトルに惹かれて読んでみましたが、認知症に関するメタ分析(多くの研究論文から傾向を統計分析する:ちょっと難しい・苦笑)が中心ながら、興味深い部分もありました。2つに絞って概説してみたいと思います。5年程前に「よくわかる高齢者心理学」(2016:ミネルヴァ書房)を読んで、なるほど!と思ったのですが、高齢期特有の心理傾向があります。心身の機能は衰えていくものの、一方で人間は最後まで「発達」する機能もあります。直感的に賢い判断をすることもあるのですね。「離脱理論」は、心身が衰えた状態で今までの社会的関係を維持していると自尊心は傷つき幸福とは遠い状態になっていまう→社会から離脱して悠々自適な生活を送ることが幸せ。「老害」と言っている政治家さんに理解してほしいところ(笑)。また、もう先は短いとわかっているので、開放的に消費や活動をしていく(いわゆる怖いものなし状態?)。高齢期はどうしても「喪失(人、健康、自立、etc.)」が多いけど、回避する力も備えている。人間ってすごいなって思います。続く。

介護保険料滞納→差し押さえ

昨日の日経朝刊社説に、介護保険料滞納→差し押さえに関する内容がありました。社会保障に対しネガティブな日経の割には(苦笑)、最近社会弱者への課題の内容も見られるようになったと感じます。さて、介護保険料未納の差し押さえ。私も過去に何度かお伝えしてきましたが、2018年には19221人と2万人近くに増加(前年比で20.1%UP)。普通徴収(天引きでなく自分で支払う)は高齢者人口の1割、約340万人にも及ぶとのこと。普通徴収は年金年収18万円以下、つまり月額にすると1.5万円。介護保険料は基本料から所得に応じて低減されますが、被生活保護者でない限りゼロにはなりません。非常に負担が重い。もちろん年金はほとんどないけど事業収入があるという人もいるでしょう。しかしそんな人はごく一部と思われます。我々は普段自分の周辺にいる人が「普通」と思いがち。でも、目立たず実は多くの経済的困難な人が(高齢に限らず)いることを決して忘れてはいけないと感じます。

地方分権と災害

「アウターライズ」(2020:赤松利市)中央公論新社

あと少しで東日本大震災からちょうど10年、先日大きな余震?もあり不安が消えません。昨年発行で話は2021年から始まります。10年目に前回より甚大な津波が東北を襲う…、東北はどういう行動をとるか。フィクションですが、この10年の実際の問題、批判の含みを感じます(小説としては非常におもしろく350頁をほぼ1日で読み終えました!)。高齢者テーマに関係はないものの、政治や経済活動のいやらしい部分(;’∀’)、いえ、はっきりいうと搾取が生々しい。架空小説であるものの、事実も相当含まれているんだろうな、と感じます。首都直下型、東南海トラフなど多くの被害者予想「それぐらいの被害は出て当然」と伝えるものの、「完全に」人命を助けようという方法論は出ていない。小説の方法がとれるわけではないですが、確かに世の中「これぐらいの犠牲は仕方ない」というムードがコロナ禍でも見え隠れしますね。根が深い…。

成年後見制度の申立人

厚労省:「成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議資料(3回目)」より

セミナーでお話していますと、老若男女関係なく「成年後見制度」への関心が非常に高くご質問も多い。私の場合、事前に任意後見を検討しておいたほうが、という話なのですが、実際は法定後見が断然多いのです。では、親族に申し立てしてくれる人が誰もいない場合どうするか、というと市町村長に申し立て権限があります。先日厚労省で「成年後見制度における市町村長申し立てに関する…」の資料を発見しました。去年からの協議会の議事録をざっと見ていますと、少子高齢化に伴い市町村長による申し立てが増加しているそうですが、ここでも課題が盛りだくさん(-_-;)。本人の居住地と住所地が異なる場合、虐待が見られる場合の親族との連絡の有無、さらに費用(後見人報酬)などの問題もあります。措置となりますが、生活保護等に該当するケースも多く、なかなか表面に出てこない問題ながら、将来的に独居率・生涯未婚率・認知症有症率・貧困率の上昇にともない、見逃せない事態になるのではと懸念です。他人事でないです…。

104歳と97歳!

先日、某自立型有料老人ホームのご担当の方から、ご入居者インタビューの内容をお送りいただいたのですが、驚きとともに久々に気持ちが明るくなりました。男性おふたり、なんと104歳と97歳。おふたりともマイナス20歳ぐらいにしか見えない(*_*)、若々しく「自立」です。やはり日々の目標ややりたいことにチャレンジしているという姿勢が、心身の健康を維持できるのでしょうか。学ぶことが多いです。自立型有料老人ホームの場合は、家族が施設を探すというより、ご本人が自分の終の棲家として探されることがほとんどなので、このような大先輩のリアル・考え方を見聞すると、とてもホームライフのイメージが付き、メリットを感じられるように思います。新規入居の営業は入居者に任せるのも一案かもですね(*’ω’*)。

WEB:終活応援セミナー

今日から視聴可能なWEBセミナーのご案内です。私の信頼する社会福祉士さんで、任意後見や死後事務委任のプロ中のプロ。介護現場もお看取りもご自身で携わったご経歴なので、机上の空論ではありません。「cool head but warm heart」な方です。 オンライン(無料)なので誰でも視聴OK。私のセミナーでも高齢期の住まいや介護の本筋でなく(苦笑)、後見制度や死後事務委任に関心の高い人が多いので、ぜひご覧いただければと思います(私もこのあと拝聴します(^o^))。ご本人いわく、お役所主催なのでちょっとソフトに語られているようですが(;’∀’)。ライブだとズバリ率直・鋭いお言葉が魅力なんですけどね(^_-)-☆ 知識と実践、他人様にお伝えするには両輪がとても重要です。私なんぞはまだまだ両方足りん!と反省然り。ガンバリマス。 WEBセミナー

 

社会保障と経済学

慶応大学の権丈先生のご本「ちょっと気になる」シリーズ3部作の3つ目を読みました。前2冊は若干政府寄りの考えなのかな~と思っていたのですが、この政策思想は、経済学の歴史(思想)と社会保障をわかりやすく解説されており、とてもおもしろかった。「政策は所詮、力が作るのであって正しさが作るのではない」(笑!)。医療などは平等に利用すべきで効率的に資源配分を行うべきという考え方(規範分析…実証分析?)がデータ等で実証されて、私なんかは「そうだそうだ!」と正論主義なのですが、先生は「この後に必ず価値判断」が入ってくると。所得分配はゼロサムなので、全員が得をすることはない、その折り合いをより多くの人が納得する形が大事なのですね。まあところがその多くの人の納得をとりつけるために、巧妙な手口がいっぱいあるわけです(笑)。「労働力の非正規化を進めた民間の経営者たちに、一国の経済政策を習うほど滑稽な話はない」痛快です(^o^)。それにしても、この歳になって、経済学っておもしろい。しばらく経済学系の本をいくつか読んでみようと思います。