財政とは共同戦線

慶応大学の井手先生のコラム(9/28日経)、なるほどと思う内容でした。特に、「先進国の中で例外的に存在していない住宅手当の制度化」を説き、低所得層の負担を軽減することを示しています(私の研究テーマですが最近ちらほらとこの見解が増えてきて嬉しい)。明日から消費税改正ですが、低所得者に負担がかかる「逆進説」も多い中、効果的な社会保障・所得再分配についてわかりやすく解説されていました。「富裕層から低所得層へという図式で財政を語れば社会は分断される」然り。「…命と暮らしのナショナルな共同戦線、それが財政」と。社会保障に関する議論は御用学者からアンチ政府学者までいろんな説が横行していますが、久々に膝を打つお話でした。

年齢別相互扶助

昨日は横浜でセミナーでした。大きな会場ですが、毎回「新しい参加者」が8割程だそうで、それだけ新しく「住み替え」や「将来の介護」に関心のある方が増え続けているということですね。話は変わり、以前「デンデラ」のような姥捨て山=老人達の自発的相互扶助住宅のことを書きましたが、立命館大学の桜井政成先生がその話をブログで紹介されていました(2011.2.9)。先生いわく、NHKなどが無縁社会と現代の地縁血縁衰退を強調するが、昔はそういう機能があったのか?違うのではないか?という論です。端折りますが、かつての日本で地縁血縁の相互扶助などほとんど存在していなかった、あるのは今と同じく集団的な生存戦略であり、さまざまな年齢別の相互扶助組織がかつての村落社会で発展していた、と。なるほど、おもしろい!もう少し文献を探ってみようと思います(*’ω’*)。

高齢者の住まい、民間シフト

社保審の資料からです。私の仕事は「高齢期の住み替え」テーマが多いのですが、ややこしい高齢者住宅・施設の現況です。これを見ると、いわゆる民間施設である有老ホームとサ高住の伸びがすごいですね。サ高住はまだ制度ができて10年未満なのでよけいに急増がわかります。このままでは有老ホームが特養を追い越す勢い。でも、別データの総務省家計調査や厚労省の公的年金事業の概況を見ていると、これから有老やサ高住の費用を十分まかなっていける人がどれくらいいるのか?国は「公費(社会保障該当の税金)」を匍匐前進のごとく、削減しまくっている。自力で老後は賄ってください、と。最近、介護や福祉の専門家と話していると皆さん「介護保険はいったんやめて仕切りなおすべき」という意見がとても多い。「措置に戻すべき」とも。今さら舵を切るのは難しいにしても、持続、ホントに可能(・・?

介護用品の進化

今日はH.C.R(国際福祉機器展)に行ってきました。かれこれ20年以上前から通っていますが、会場が拡張されたのか、移動がすごくて疲れました。あまりにも展示が多いのでざっとしか見られないのですが、毎年の変化や傾向が参考になります。介護リフトがすごく多くなったと思いました。介助者の負担軽減ロボット(着用)も、数年前は2社ぐらいしかなかったのが、増加していますし価格もぐんと安くなっています。大量に使うケースが出ているのでしょうか。個人的には微妙なんですが(;’∀’)、施設の見守りのIT化も進化しています。でもやはり、大きなモニターで○○さんが離床、トイレ、睡眠など映し出されるのは、なんだか監獄みたいに思えてしまう。介護する側にはメリットは大きいでしょうが、人間としてどうなのかな、と個人的感想です。でも、勉強になりました!

2025年まであと5年!

社保審の参考資料を見ていると、高齢社会の深刻さはますますだなぁと実感します。2025年(団塊世代全員75歳以上)と2040年(段階ジュニア65歳以上)の2つのピークがありますが、2025年には要介護認定者数が771万人と想定。介護認定率は21.4%に上昇。後期高齢者のボリュームが増えるので当然です。介護サービス量の見込みは、2017年対比で25年は軒並み25%程UPですが、可能か?! 中でも定期巡回・随時対応が144%!看多機は264%!いやいや無理でしょう(;’∀’)。さらに居住系サービスで特定施設(介護付有老等)は41%増。見込み量ですから、仕方ないですが、実現はかなり無理では。事業者は有老ホームを増やしたくても職員が確保できないので計画断念するところが増えています。在宅も施設も、ここまで数字がわかっていて、足踏み状態。どうする?私の老後(笑)。

住宅改修は高齢者の心身に合わせて

8月の実家改修3カ所のうちの1つ、洗面新設。田舎の古い家なので、私の幼稚園時代はトイレもお風呂も離れ、雨の日は傘がいる状態でした(◎_◎;)。小学校入学の頃ようやく解体し、祖母用の1LDKの新しい離れ(笑)を建てたのですが、一家のお風呂・トイレもその離れに新設、母屋と離れは屋根のある廊下で繋がるものの、遠い(ヽ”ω`)。すでに報告の通り、トイレは3年程前に母屋に新設、今回洗面も母屋のLDK横に設置(無理やりに縁廊下の隅)。工事直前に気付いたことが。これと違うタイプを選んでいたのですが、ふと「高さ」は?!(母は身長がだいぶ縮んだのです)。今時の標準洗面は高め。工務店さんにお願いして、メーカーに低いタイプ(少ない!)を聞き、難を逃れました。普段、老人ホームの洗面を見ているので気付けました。これから改修を考える方は、事前に本人の使いやすいサイズの確認を。

通いの場は本人達のため?

介護予防事業の推進が議論されていますが、厚労省の資料を見ていると、「通いの場」を魅力的にするために、ポイント制度や担い手参加など、別に目新しいといえない(;’∀’)方向性が語られています。でも、それで本当に活性化できるのか?私の実家のある田舎町でも、健康教室や筋トレ教室、その他いろんな取組みをしています。当初多くが通っていたので、私も良いなぁと思っていたのですが、母の話では「最近減ってしまった。行きたくても行けない人が本当に増えた」というのです。まず足がない(歩けない)。認知症が進んでしまった。気持ちが萎えた。などなど。個別の事情はあれども、最初は通えても行けなくなる人(といっても要介護とまではいかない)も増えるのです。まさしく制度から漏れてしまう人々。通いの場の充実論は、机上の空論に思えて仕方ない。市井の高齢者本人、当事者を交えた議論がなされないのが本当に残念。

社会保障会議?

朝刊でため息の出た記事。「社会保障会議」なるものを初会合するらしい。社会保障審議会とはまた別の「政府内の会議を代表」だそう。財政審にも経済連が入り込んでいますが、社会保障にまで。メンバーは経済関係、政府に近い御用学者ばかりで、先行きが思いやられます。そもそも社保審という仕組みがあるのに、無駄遣いでは!政府が社会保障を厳しくするには抵抗もあり、有識者の意見としてクッション置くのでしょうか。朝から、気持ちがくらーーーくなりました(ヽ’’ω`)…

高齢層の資産は低下

総務省の家計調査(年報)が年に1度公表されますが、今年更新された2018年のデータを見ていますと、高齢者の所得は若干上がっているものの、貯蓄が減っています。所得はおそらく名目年金額が昨年より上がったことや、(仕方なく?)仕事を続ける高齢者が増えたからかと。それでも生活費には不足するので、預貯金の切り崩しが避けられないためでしょう。60歳以上2人以上世帯の貯蓄平均は2384万円→2284万円、中央値は1639万円→1515万円と前年対比で減っています。細かい分布で見ると、100万円以下が増加、1400万円以上の高額預金者が軒並み減っています。4千万円以上という富裕層も1%ダウン。社会情勢を見れば予測できることですが、高額な有料老人ホーム事業は今後どうしていくのか、早めに対策を考えないと経営の問題が起こってくると感じます。

昔からあった高齢者の集住

昨日の続きで「親を捨てる子どもたち」の書籍の後半で、私の研究テーマでもあるCo-housing(住民の相互扶助による住まい方)の話が出てきます。姥捨て山「デンデラ」も、実はCo-housingであると。確かに!さらに、関東大震災後、初の公的住宅として建設された「同潤会アパート」もその形であり、当時は標準で各住戸に浴室はついていなかったので、アパートの中に共同浴場、散髪屋、洗濯場、娯楽室などを設置していたのです。かなり形は違うけど、自立型有料老人ホームの設備に近いか(*’▽’)。同潤会は老人向けではないですが。さらに研究を遡ると、江戸時代には、老人が一軒家に集住し、助け合いながら最期を迎えたという暮らし方もあったそうです。うーむ、歴史に学ぶ、ですね。興味深いので文献探して読んでみようと思います。