高齢期の歯科治療の重要性

 

「8020運動」をご存知の方は多いと思います。80歳のときに自分の歯が20本残っているよう元気な歯を維持する運動ですが、実態はなかなか難しいようです。問題は自分でメンテナンスできればいいのですが、要介護状態などのとき。厚労省の医療介護総合確保促進に関する会議(2014年)の資料にあったデータをグラフ化したのが今日の画像です。「要介護者の約9割になんらかの歯科医療が必要であるにもかかわらず、実際の歯科受診を行ったのは27%にとどまっている」のだそう。昨今は、「訪問歯科」で在宅での歯科治療も可能になっています。私も以前、訪問歯科に同行させてもらってその設備に驚きました。携帯型レントゲンなどもあり、本格的。有料老人ホームは「歯科医院との協力関係」は「努力義務」となっていますが、ホーム選びでは「歯科」連携もあるところをぜひ選んでほしいと思います。

高齢者介護の現場

 

大学院の論文準備で、自立型有料老人ホームの幹部の方々にインタビューをしています。守秘義務があるので詳細については言えませんが(;’∀’)、自立型ならではの「苦心」が非常に伝わってきます。普段の視察では聞けない話。自立入居ゆえ当然、生活も自立居室、しかし、時間経過とともに心身が弱っていく人が大半。外から見ると「もう自立棟は無理、介護棟の方が良い」という人も少なくないのですが、ご本人たちは意に介せず…。おおまかにこういうことがどこでも起きています。ここで施設の方針が分かれる。ほぼ強制的に介護室へ移ってもらうところ、本人の意向を優先する(そのために職員は必要以上の支援をする)ところ。その「無理」はここに書けませんが、相当、ナミダモノ(;’∀’)。介護保険の在り方は根本的に議論が必要と思います。厚労省で介護保険に関与する官僚は、全員1年は介護現場で働くことを前提にしてはどうでしょう?1年といわず、1ヶ月でも結構。「机上の空論」がいかにバカバカしいか、現場にいるとわかります。

ペーパーヘルパー

 

ペーパーですが、実はホームヘルパー2級をもっています(*’ω’*)。介護保険開始直前、1999年に2ヶ月間、通信教育と週末の学校通いで取得しました。写真は当時の資料。たいてい資料は捨ててしまうのですが、これは保管しています。この時の学びや経験はその後どれだけ役に立っているか。1週間老健で現場実習もしました(この時、介護の大変さ&現場の問題を実感)。なぜ思い出したかというと、先日の講座で「訪問ヘルパーは資格が必要だが、施設介護職員は無資格でも可能」、でも「勉強をしているのとしていないのでは全然違う」という話をしたから。「車椅子に乗ったことがありますか?」の質問にはほとんどの人が「ない」。私の資格取得時は、「自分が体験する」授業が多くありました。車椅子に乗って他人に押してもらう(怖い!)、水をしみこませたおむつを半日つける(気持ち悪い!)、などです。介護の仕事をする人は、やはり無資格ではなくきちんと勉強してほしいと経験上痛感しています。

介護操作?

介護認定がおりづらい」という話は以前から聞いていましたが、最近気づいたのは、実際認定率が下がってきていることです。仕事がら、半年に1度、各年代の認定率をグラフ化していますが、例えば今日の図で見ると、17年10月から18年4月に各年代で認定率が下がり、特に要介護者が多くなる85歳以降では2ポイントも下がっている。この半年だけでなく、それ以前から微減していました。介護予防や自立支援の効果?とはたいてい思えないので、認定プログラムの操作や、公にはされていない認定者数の総量規制に近い取り組みがあるのかも。と、ついつい訝ってしまいます(;’∀’)。ただ、現場で働く人々にも「思っていたような認定がおりない」という話はよく聞きます。介護保険、本当に「誰でも」「必要があれば」使えるのでしょうか。この不信感、なぜ消えないのでしょう…。さて、今日は横浜でセミナー、最新の状況をお届けします(‘ω’)ノ

居場所が大切なのか?

 

地域福祉が大切ということが言われだしてから「居場所づくり」という言葉をやたらと聞くようになりました。高齢者、子どもたち、障害のある方々…。そこには「孤独・孤立しない」ように集まれる場所、というイメージなのでしょうが、どうも違和感をずっと感じていました。そもそも「誰もが/行きたい」と思える場所など作れるのでしょうか。など、考えていて、先日視察にいったコレクティブ・ハウジングでふと思いました。必要なのは居場所そのものではなく、「役割」なのではないか。高齢者の集う場所に何度か行きましたが、そこではお茶・お菓子があり、お喋りして、体操やVTRを見る、折り紙、習字など、何か趣味事もあるのですが、ほぼ毎回決まった人の参加。そうなると新しい人は参加しづらい。でも、そこに「役割」があれば、ある意味半強制(苦笑)で参加せざるを得ない。かつての町内会一斉のお掃除や会合などはそうでした。役割も100%有効ではもちろんありません。ただ「居場所」で何か「提供」するという発想からは離れることも必要という気がしています。

認知症保険

 

以前から話題になっていた神戸市の認知症保険が朝刊に詳しく載っていました。個人市民税均等割りに1人年400円を上乗せ予定。月額にすると約33円なので負担も大きくありません。賠償責任は最大2億円、診断助成制度の創設、24時間体制の相談窓口など、行政としての取組みはすごいな、と感じます。ただ、将来において若干懸念するのは、認知症を原因とする事故が増えたときの均等割税の一律上昇、早期受診が果たして良いのかどうか(過剰に病気にさせられる可能性)、などを率直に感じました。保険料ではなく税金なので、わずかとはいえ応能負担(所得に応じた税率)にしたほうが良いような。「認知症の有無を判断する医療機関を指定」とありますが、お医者さんが皆認知症に詳しいわけではないので、きちんと精査したところを指定してほしいですね。確か自治体で最初に認知症対応したのは、神奈川県大和市だったと思うのですが、今後他自治体がどうするか、興味深いです。

社会保障財源のレトリック

 

大学で論文指導をいただいている先生の論文を読んで、いつも超やさしいのに(*^^*)、相変わらず文章になると手厳しい。社会保障論や財源論がご専門で、学ぶことが多々あります。消費税が来年10%になる予定。そもそも89年に消費税が導入された際には、社会保障に充てる目的でした。実際はどうか?ここで全てを説明できませんが、目的外にも割り振られているのが現実です。さらに、89-03年の消費税累計136兆円は、その間実施された法人減税131兆円とほぼ同じ、ようは法人税を下げた分を消費税でまかなったととれます。では「悪魔の選択(笑)」とは? 社会保障財源=消費税ではありません。医療・介護を中心とした社会保障財源は、保険料もありますが約半分は公費(一般会計)です。それを「社会保障財源=消費税」と目的化されると、我々は「社会保障充実のためには、消費税UPを飲まねばならない」という構図が出来上がる。非常にうまい国のレトリック。最近勉強していると、「言葉」の重要性を非常に実感します。

些細な事ですが。

 

セミナー資料でよく使っている「植木鉢」ですが、先日大学院の同級生に「新しくなっている」と教えてもらいました。屁理屈学問していると、些細な変化に非常にナーバスになります(;’∀’)。厚労省お抱えリサーチ会社がレポートをまとめており(公平な調査?、政府方針に沿う調査結果?)、社会福祉学的には問題は多々。たとえば、植木鉢の福祉と介護予防が入れ替わりました。別途説明には、「介護予防は自助・互助の取組みを通し」とあり、「公の後退」(行政としての責任を薄める)ととれます。「高齢者、要介護者の増加と同じペースで専門職を増員し続けるのは現実的に困難」「専門職は地域に対する貢献が今後の役割」「単身高齢者、低年金高齢者の増加に伴う問題の増大が予測され、専門ソーシャルワークの重要性は大きい」と記されているものの、矛盾と、だからどうする?はありません。他にもツッコミどころ盛りだくさん!一つだけ評価できるのは、本人・家族の選択から本人の選択、となっている部分。…という話をクラスメートと盛り上がりました。オタク会話ができる大学は本当に楽しい(*‘∀‘)

介護保険は誰のもの?

 

週末に毎日新聞のNetニュースで「遺書11行老老介護の苦労つづる」というものがありました。あまりメディアを信用しないので少し引いて考えても、先般大学で「孤立死」のディスカッションをしたときの話と重なります。介護保険がこれだけ浸透している(と見える)としても、実際には行き渡っていないのが現実。原因には、貧困(1割ですら出せない)、申請の複雑さ(理解できない)、関係者への不信感、依存したくない、などいろいろあります。役所は構造改革で、どんどん公務員を減らし、特に福祉関係はほとんどが委託事業。以前は「アウトリーチ」(本人が助けてと言わずとも、必要性をもって介入[この言葉は好きじゃないのですが])できていたものが、非常に薄れている、むしろプライバシーや個人情報の関係でよほどでないとできていないでしょう。その結果が、悲惨な事件につながっているのは間違いない。格差が著しい高齢者世帯を、政府のいう「お金を持っている元気な高齢者」という誘導に決して騙されてはいけません。明日は我が身です。

問題が起きる原因は

 

現在公開中の「華氏119」(原題Fahrenheit11/9)を観てきました。マイケル・ムーアは大好きな監督です。アメリカの社会問題(社会保障や福祉)を、自ら突撃取材し映画化しているのですが、深い内容とともに編集も素晴らしい(笑)。今回は反トランプ主流ながら、大統領選の裏側、公的水道汚染、高校銃撃事件、教職員の低賃金など広く社会問題が暴露されています。いや、ほんとに怖い。そして関係する政治問題も!恐ろしいのは政治的に「緊急事態」が作られ(フェイク)、存在しない問題を解決するために様々な法律を制定されてしまう、これは日本でも起きているのではないか。現在の社会保障問題も同様ではないか、と。日本は他国に比べると皆おとなしく「社会運動」が極端に少ない国。ぬるま湯にひたっていず、おかしいことはおかしいと言って行く必要を痛感します。ちなみに、映画は堅苦しくなく監督独特のコミカルな編集なので冷笑しながら楽しみ、怒れます(笑)。