社会保障の行方

 

今週は月~金曜まで首都圏、東奔西走(;’∀’)。月曜日は現役世代向けに「親の介護・高齢者の住まい」をテーマに2時間の勉強会でした。50代の方が中心かなと思われましたが、本当に多くの方が家族介護や自分の老後の不安を感じているのを実感します。この画像は首相官邸「今後の社会保障の在り方について」というHPから抜粋。この部分だけでも矛盾を感じてしまう。「社会保障は国民の『安心感』を確保し」とあるのに、「1)自ら働いて自分の生活を支え…自助を基本として」。さらに社会保障は、「社会経済の安定化を図るため」という文言にも違和感を感じます。まさしく社会保障を産業化(市場化)していくことをさすのでしょうか。自費介護、自費医療、本来人々の基本生活を守るはずの社会保障をビジネス化するとは、お金で命を買うようなものでは。自己責任の部分と、社会で保障する部分の線引きがおかしくなってきています。

ユニバーサル住戸

 

福岡続編。よりあいの森の後、福岡県住宅供給公社さんの団地建替えプロジェクトの視察に伺いました。6番館までのうち1・2番館が完成、その中に「サ高住」があります。国交省によるH25年「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業」にも選定され、団地内に高齢者(共生型)デイ、放課後デイ、こども食堂なども設置され、団地だけでなく広く地域の高齢者も参加されていました。サ高住は満室のため部屋は見学できなかったのですが、一般住戸と同じということで空室を見せてもらいました。驚いたのは「全戸同じ仕様です」ということで、トイレや居室のドアは引き戸、玄関やトイレ、浴室には手すり、さらにトイレと浴室には緊急ボタンが設置され、まるで「これはサ高住?」と言いたくなるほど。一般住戸も高齢者仕様になっていました。一般住戸の人の緊急ボタンにも対応するそうです。これはすごい。「どの世代でも安全・安心・暮らしやすい」を追求しているのですね。「住まい」の進化・変化を実感しました。

特養って

 

福岡は非常に充実した日々でした。土曜は福岡市主催セミナーで100名を超える方々が、合計4時間という長時間の勉強会に参加してくれました。さて、金曜日に「よりあいの森」に隣接する民家サロンをUPしましたが、テラスで繋がって木造2階建の特養ホームがあります。建物自体も素晴らしいのですが、「特養ですか?」と言いたくなる違和感(良い意味)は、介護用○○がほとんどないからです。リビングのテーブルも椅子も家具も全部一般家庭からのお古(笑)。入居者は自分の体に合うものを自然と見つけるそう。向こう側では職員がオープンキッチンで食事作り。野菜を切る音、炒める音、生活感満載。2階は天井が高く天窓があり自然光がいっぱい。施設によくある「居室の窓は15㎝しか開かない」ことはなく、全開!「脱出者(笑)いませんか?」には「いますよ。でも地域の人々が皆知ってくれているので見つかります」とのこと。これは「マニュアル化」できません。「人づくり」「地域づくり」は国が言うように誰もが簡単にできるわけではないのです。続く。

施設とは

 

今日と明日は福岡です。今日は非常に充実した1日で、おいおいUPしたいと思います。年に1,2回訪れる福岡は情報の宝庫(*^^*)。希望が叶って、90年代初めから「宅老所」をはじめ、その後、その理念にもとづきつくられた特養ホーム「よりあいの森」に伺うことができました。書籍なども読んでいたのですが、実物は想像よりずっとよかったです。「こんな特養見たことない!」いや「これは特養じゃない(笑)」。小一時間訪問の感想で全てを語るにはおこがましいですが、建物はもちろん、隣接する民家を改装した寄り合い場所(ちょうど地域の高齢者がたくさん集まっていました)、入居者の皆さん、スタッフの方々、、、施設の香りがまったくしない。お風呂を拒否する高齢者が多いですが、「どうやったら入ってくれるか」ではなく「なぜ入りたくないのか?」を考える、現場の工夫でした。他にもいろいろありますが、また続きは次の機会に。

医療は進化しても…

 

1973年、老人医療が無料になり、日本の福祉元年とされましたが、その熱も冷めない同年後半、経済環境急変により福祉元年は後退。NHKアーカイブスで75年の病院を密着取材した40分ほどの画像を観ました。「病院はこんな感じだった」と小学生当時の記憶がよみがえり(苦笑)、今と比べると単純に「悪環境」と言いたくなりますが、一方で見終わったあと、なんだかほっこりするというか癒されたというか、不思議な気持ちにもなりました。大部屋でプライバシーも何もない。付添さん(今は死語?)が身の回りの世話をしてくれ、病院内に患者用の台所があったりしました。病院関係者は高圧的な物言いながら、でも患者一人一人のことを医師も看護師も事務員もよく把握している。同じ病室の人が何となく町内会の人のようになってしまう。今よりずっと医療は遅れていただろうけど、人の関わりが濃かった。人を守るはずの制度や技術の進化のかわりに人は希薄になってきたのかもしれません。

台風後遺症

 

昨日、京都の街中を流れる鴨川を歩いていて、まだまだ台風の後遺症が大きいことに驚きました。1週間前はもっと折れた枝や倒れた木があちこちに積み上げられており、それは除去されたものの、大木の根っこや、折れた木を切断した切り株があちこちに残されていました。まさかと思うようなしっかりした木が折れてしまったり、根っこから抜けたり、これが人間だったらどういう状況になっていたのか。先般伺った関西の有料老人ホームで、「ホームに移り住んでおいてよかった」と仰っている方がいましたが、こういうときに実感しますね。一方で、知人の同年代独身女性が「結婚したほうがいいだろうか」と弱気になっていました(笑)。災害というのは、心理的影響が大きいのですね(;’∀’)…。私なんかは「雨戸が必要だよなぁ」と思っただけでしたが(笑)

国家予算を何に使うか

 

久々に大学院での話。先般ゼミで貴重な体験をしました。73年前、広島原爆の爆心地で被爆された方のお話を直接お聞きしました。5歳のときの体験で、実はそのあと58年間「その日」の記憶が空白になっていたそうです。人間とは体と心は別であり同じであると感じます。壮絶なその日の話はもちろんながら、我々が忘れがちなのは、「その後」です。老母は終戦時9歳でしたので戦中の記憶はあるものの、広島の体験とは全く違います。長崎も同様ですが原爆はいまもずっと変わっていない。いわれのない差別や誤解、これは現在の福島原発事故も同じですが、常に何の罪もない市井の人々が次世代、次々世代まで背負わされる重い荷なのだ、と。被爆者の平均年齢はすでに82歳を超えています。世界中がキナ臭い昨今の状況。「なぜ社会福祉と平和が関係するのか」は、歴史的に社会福祉・補償の予算が軍事費にシフトしてしまうからなのです。

magic table!

This ‘magic table’ is designed to fight apathy. (via BBC World Hacks)

BBCニュースからのシェア画像です。朝これを発見して「おお~、すごい」と思わず言ってしまいました(*’ω’*)。認知症の人の症状のひとつとして「無関心・無気力」があり、そこから筋力低下、老衰にもつながるのですが、対策アクティビティとして活用されているようです。こういうのを見るとテクノロジーの進化もすごいなー!と単純に思ってしまいます(;’∀’)。ゲームセンターなどではこれに近いものもたくさんあるのでしょうか。まだまだ費用はかなり高いようなので、施設への汎用版で低廉化するといいですね。誰にでも効果があるわけではないでしょうけど。しかし、「Dementia club(認知症倶楽部)」って団体名もどうかと思いますけど(;’∀’)…

住まいの防犯カメラ

 

高齢者住宅に限らず「住まい」周辺のセキュリティへの関心はとても高まってきたと思います。防犯カメラも駅やビル、町の中、いたるところに取り付けられ、ある意味「監視」社会となってきました(;’∀’)。写真は我が宅のマンション、やはり共用部の随所に設備しています。随分昔ですが、上の階で一度空き巣が入ったこともありました。先般も、有料老人ホームにお伺いした際に、外部(施設の外側)に防犯カメラを増設した話を伺いました。安全であるはずの施設でも、万が一凶悪犯が侵入したりすると、夜間体制が1~2人などで対処しきれません。世知辛い世の中ですが、致し方ないのかもしれませんね。しかし、自分も監視されているということ(;’∀’)、あまり汚い恰好でウロウロしないように注意しなきゃ。。。

自立に比べ介護住宅のほうが満足度が高い?

cf. Exploring the housing needs of older people in standard and sheltered social housing (Fox, Siobhán; Kenny, Lorna; Day, Mary Rose; O’Connell, Cathal; Finnerty, Joe; Timmons, Suzanne)

修士論文用に「高齢者の居住」に関する文献をいろいろ読んでいるものの、日本には、自立高齢者のテーマが非常に少ないのです。従って非常に苦労しながら英語論文も読んでいます。これはアメリカの研究機関の論文で、なかなか興味深い。2つの仮説の実証研究。そのひとつ「社会住宅の高齢居住者は一般住宅(自立)より介護住宅のほうが満足度が高い」。欧米の社会住宅に該当するものが日本では難しいので、イメージがつきづらいと思いますが、低所得向けではありません。調査データを見ていると、「自由と安全」のトレードオフ、ようは、安全を求めて高齢者住宅に住み替えても、自立であるほど自由がほしい。でもそうなると、常に見守りのある介護住宅より安全性は低下する。人間とはわがままなもので、どっちもほしい(笑)。こればかりは難しい要望です。一方で両住宅で不満足度の高いのは「暖房」でした。断熱が悪い、燃料が高い、など。「高齢」という課題と別に地域性も大きく影響ありますね。研究は面白いです。