老人ホームの営業考察

 5月は有料老人ホーム見学講座で4施設に訪問する機会があったのですが、毎回興味深いのは、参加者の意見や視点です。個人的には700件以上の施設を見てきていますが、設備や仕組みはどんどん変化していくので「これで十分」と思うことは全然ありません(善し悪しは別として)。1日で2施設に伺ったとき、「最初はスーツにネクタイのいかにも営業さんが説明してくれたが、次はユニフォームの介護職員が説明してくれた」との感想があり、私にはない視点だったのでなるほどと思いました。どっちがいい悪いの判断ではないのですが、思い返してみると大手ホームチェーンや大きな自立型有料老人ホーム等の場合、スーツ担当がほとんどです。現場職員含む全員営業体制ってすごいなと思うのと、現場の人が介護も営業も担えるのはかなり自分たちで勉強や努力をしているでしょう。そして自分の施設が好きじゃないとできない。アンケートでは、全員営業体制のところの評価が「多くの現場職員と接することができてすごくよかった」とのことでした。確かに(*’ω’*)。

 

我が子による住み替えハードル

  自立型の有料老人ホームに住み替えようという高齢者の思わぬハードルが実は我が子ということが多いようです。老人ホームへの偏見もありますが、「自分にお金を残してほしい」というのが多いとか。結構あからさま(-_-)です。ではもし将来親の介護や支援が必要になれば、子は面倒をしっかり見るのでしょうか?おそらく「自分の家庭があるからできない」という人が多いのでは。一方、親子一緒に施設見学に来て納得するケースもあります。どちらが良い悪いではないのですが、これらの話を聞くたびに「親離れ」「子離れ」がいい歳になってもできないということと、実情を認識していないことを感じます。厳しい言い方かもしれませんが、TVなどで一方的なニュースをそのまま真に受けるように、固定観念で善し悪しを決めてしまうことも多いかと。老人ホーム入居を勧めているわけではありません。ただ老後の人生は、その人にとって最期の貴重な安寧の生活のはず。本人は自分でしっかりとした見識を持ち、子は自己利益に走らず親のサポートをし社会情勢を学ぶべき、とつくづく感じます。

介護従事者による犯罪とは…

 先週、ちょっと介護業界ではイヤなニュースを2つ発見しました。静岡では老人介護施設(認知症グループホームのようです)の元施設長が認知症入居者のキャッシュカードを使い複数回にわたり400万円を不正に引き出していたとのことで逮捕されました。さらに埼玉では、男性ケアマネジャーが認知症女性の自宅で現金を盗んで逮捕。一人暮らしの女性ですが、近所に住む息子さんが現金の減り方が早いと不審に思い、防犯カメラを設置して判明したようです。「小遣いが少なかったので盗んだ」ということですが、ケアマネジャーという職業を考えるといったいどういう考え方のもとで仕事をしているのか、と言わざるを得ませんね。いずれも認知症の人への許せない暴力といえます。埼玉のケースは息子さんが気付いたものの、もしかしたら独居認知症で周辺の人に気付いてもらえないケースがあるかもしれません。他人事でないと、怒りの気持ちですヽ(`Д´)ノプンプン! ※写真はイメージです

2018介護保険改正、成立?

 本日、参院本会議で次期介護保険改正が可決・成立するだろうとのこと。もう一度おさらい、日本の介護制度は、保険料を毎月支払った上に実際利用すると自己負担があります。来年8月から1割、2割、3割と同じサービスを利用しても負担率が異なることになります。よく「年金年収で280万円以上」など言われますが、これはあくまでも年金収入だけの場合、基本的判断は「合計所得金額」です。ややこしいです(;’‘)。年金には年金控除というものがあり一律1120万円を経費と見てくれます。ようするに年金収入だけ280万円だと年金控除の120万円を引いて160万円。200万円の人だと80万円ということ。事業収入は、売上ひく経費。年金受給かつ自営業の人はこのふたつを足します。なお、基礎控除や扶養控除、社会保険料などは控除されませんので注意です。厚労省試算によると、3割負担になる人は全体の3%程度のこと。仮に120分の訪問介護を受けた場合、自己負担は250円、500円、750円と同じ内容でも支払い金額が異なるということです。

有料老人ホーム入居タイミング

 今日は横浜でセミナーでした。控室ではメイン会場がモニターで確認できます(*’‘)300名弱ご参加だったとか。自立型有料老人ホームにご入居されている方々にもご登壇いただき、入居迄のことや入居後のことなどリアルな体験談をお聞かせいただき、とても参考になりました。「将来高齢者の住まいへと思うなら若いうちが良い」と全員が仰られ、中でも「精神的・肉体的に解放された」という話が印象的でした。「もうこれで老後のあれこれ悩まなくてもいい」それだけの安心感があるだけでも、かなり大きいということですね。とはいえ、自立型有料老人ホームに入居するには、予算は相当なければ難しい。これからの世代は、入居一時金の数千万円を頑張って貯めたとしても、懸念材料は死ぬまで一生必要な「月額費用」が続くかどうかです。今のシニア世代はまだ年金でまかなえるレベルですが、次世代、次々世代は年金だけでは難しいでしょう。退職までにプラスアルファの預貯金が必要です。・・・こんな仕事しながら、私は決して自立型有料老人ホームには入れないですねぇ(T_T)

職業でなく家族としての介護者

 Carer(ケアラー)という言葉を私も勘違いしていたのですが、英語圏でも家族介護人と専門職介護人の意味を分けるために、Carerは家族などによる無償介護、専門職(報酬有)介護人はCare workerCare giverと分離しているようです。ところで「介護者支援政策の国際比較」によると、介護される本人でなく介護する側の介護者に対する支援政策は1970年代からフランスやイギリスで展開。日本は介護保険導入前の1995年頃から議論されるものの、審議会では他国の介護者支援策は部分的紹介にあり、意図があって一部を除いているのか?とみられるふしも。フランスでは家族介護者の無償介護時間は、専門職の23倍になると指摘され、全介護時間のうち介護者(家族)が担うのは、オランダ75%、ベルギー80%、イギリス80%近く、カナダ70-75%…と調査報告されています。日本は介護保険導入時「介護の社会化」と壮言しましたが、諸国では「介護者の担う重要な役割を見失う恐れのある用語」として、どこも用いていないとのこと。今の「介護離職ゼロ」などもそうですが、日本政策のきれいごとと実態の乖離にはホントに恥ずかしくなります…。

高齢者住宅のお見送りの仕方

   先日、伺った有料老人ホーム(自立時に入居するタイプ)で、職員の方にちょっといいお話を聞きました。100人程度の大きくない施設ですが、入居者が亡くなるとメイン玄関からお見送りするそうで、お知らせしなくとも入居者のほぼ全員が喪服に着替えて静かに手を合わせに集まるそうです。自立型とはいえ、設立数十年で入居者の高齢化も相当なのですが、皆さん杖をつきながら、お別れに訪れるそう。病院も亡骸は裏玄関からがセオリーでしたが、入院患者さんにアナウンスして玄関から皆でお見送りするところもあります。どちらがいいか、本人(もう関係ないとはいえ)、家族、一緒に過ごした人、明らかですよね。日本はどうも死を避けすぎです。だから余計に怖い、忌み嫌うべきもの、となってしまうのでは。施設選びの一つのチェックに「施設としてのお見送りの作法」も入れることにしました。

自分だけ逃げきれるのは無理

 週末に一気読みしました。タイトルは某週刊ビジネス誌のような煽り方ですが、社会学的側面から書かれていると感じます。私もこの1年強大学で社会福祉学を勉強し、いかに無知であったかを思い知る途中ですが、日本独自の固定観念を総国民が持っていると感じます。以前も何度か書きましたが、明治時代の恤救規則やそれ以前の救貧策、諸外国も同様ながら「貧困も障害も老齢も生活困難は自己責任」という時代が非常に長かった。しかし様々な調査から全世界が「貧困の原因は社会にある」と理解し、社会福祉制度に繋がっていくわけですが、現代は経済最優先ゆえ大昔の「自己責任」に逆行していっています。国からじわじわ洗脳されつつある。でも、おかしいと気付く人は増えてきたかと。若い人こそ考えてほしい。国は「財源」を切り札に国民に我慢を強いる。でもおかしいですね。本来「必要な時のため」に税金や保険料を我々は支払う。高齢者も障害者も若者もシングルマザーも病人も同じです。助け合いなのではなく、生存のための必要不可欠が補償されることは当然。この1年、憲法第25条をかみしめています。

混合介護、先送り

 朝刊に「混合介護拡大先送り」の記事。「高所得者ばかりが恩恵を受ける不平等につながりかねない」と厚労省や野党から慎重意見が相次いだとのこと。厚労省も野党もたまには役に立ちますね(;’‘)。政府は社会保障を企業のお金儲けにすることばかり考えないでいただきたい。混合介護については、過去何度も記載しましたが、妙な規則が多いから利用しづらいのであってそこを見直せばよい。「福祉は個別性が大切、その人にあった支援を」と方針だけはいつも立派ですが、実態の制度がまったく矛盾。超高齢夫婦暮らしの家事支援で、一方の食事しか作れないとか、お正月に少しはお正月らしい料理も作れないとか、庭の草がボウボウでも刈れないとか、おかしいと誰でも感じること。ただ単にOKNGの線引きをするのではなく、「その人に何の支援が必要なのか?」を見て対応することです。そういう点では、ケアマネジメントまで市場化してしまったことが最初の大きな問題ではないかと、諸外国を見ていると常に実感します。新たな制度を上乗せしていくのではなく、きちんと問題点を見直すべきかと。

統計調査に惑わされない

 総務省が2016年家計調査を公表しました。2人以上世帯がもつ金融資産の平均は1820万円、中央値1064万円と4年連続で過去最高。しかし高齢者の高額貯蓄が加味されるので、勤労世帯ではもっと低くなりますし、高齢者でも一部の高額資産家が平均値に大きく影響を与えるので、この統計数値に惑わされてはいけません。実態と大きくかい離します。少しずれた(;’’)部分でおやっとおもったデータがありました。一人世帯の家計、男女(3559歳)では、収入に20万円近い差があるのに、持ち家率は女性が50%超えと高い。支出項目はかなり細分化されているので、これを見ていると単身女性の「将来老後に向けた姿勢」が伝わってくる気がします(;””)。現実的にも男性より女性のほうがずっと「老後設計」に真剣傾向。思い起こせば私も家(マンション)を購入したのは35歳の時でした。単身が今後も増加していくので将来設計は一層重要となりますね。