任意後見制度もメリット・デメリットあり

また成年後見制度の話でしつこくてスミマセン(;’∀’)。「任意」後見制度をきちんと確認しておこうと、リーガルサポート発行の本を読んでみました。ただ2007年初版なのでちょっと古い。先般5回にわたり記載した「闇」の部分と相いれない内容もあり(リーガルサポートは司法書士さんの団体なので裁判所寄りですね)、どうかなーと思うところもあったのですが、ただ新たな発見も多々ありました。個人的に任意後見は親の介護を心配する同世代の方には勧めていますし、私自身老母の任意後見受任者です。ただ、、やはり実際面倒くさいことが多い(-_-;)。そして若干リスクもある。法律のことなのできちんとせねばならない。このあたり2019年の裁判所の「家族がやりやすい後見制度」方針がどれぐらい現実的になるのか次第ですが…。超私見ですけど、任意後見契約は保険、できれば使わずにすむようにすることが一番(;’∀’)。

銀行の認知症顧客対応に変化

昨日まで「成年後見制度の闇」について5回述べてみました。が、これらの問題をふまえて(たぶん)、環境は変化しつつあります。2019年に裁判所が「後見人は家族がすること」を中心に方針を表しました。これが反映されたデータはまだ出てきていませんけど。そして先般全銀協(全国銀行協会)が、判断能力が低下した顧客との取引において、必要な資金は条件を付した上で家族等の引き出しを可能にする方向性を発表しました。これまで「成年後見人」をつけることが必須でしたが、おそらく現場では相当数の問題が起きていたのでしょう。柔軟な姿勢に舵を切りました。しかし、安易にしてしまってはこれもトラブルの可能性もあるので現場の判断は難しいところです。ただ、全体としては「成年後見制度」自体が介護保険開始時の理念からズレかけていて、一部に後見ビジネス化していた現実を考えると、課題と対策を議論され始めたのは大変歓迎です。
関心のある方は、全銀協の広報資料をご覧ください。(3頁:無権代理人との取引)

成年後見制度は充分理解を(5)

5回続けて「成年後見制度の闇」(2018:飛鳥新社)を参考に記してみましたが、書き足りないことがまだいっぱいあります。気になる方は本を読んでみてください(ただしこれが全てではないことは理解して)。この本の良かった点は、ちょっと恐ろしい事例が多いのですが、あわせて「原因・課題」と「対策」「必要な政策・施策・制度」も提起している点。特に危険回避のための「対策」は非常に参考になります(私も即実行しようと思いました!)。少しまとめますと(重複しますが)、①法定後見は子がなれない確率が高い(ヘタすれば本人と家族の人権が侵される)、②そうならないための対策を元気なうちに親子で考えておく、③万が一想定外の後見が開始されたら即刻できる対策を講じる(時間が命)。著者が提案しているポイントの中で2点、これから制度としてぜひ進めてほしいものあがります。ひとつはまったく第三者機関による後見相談(客観的に人権を守るために正当に判断してくれる)、もうひとつは、後見人の固定報酬ではなく、限定後見(不動産を処分するため、金融機関と取引するため、施設と契約するため、など)にして、1回の行為に報酬がいくら、とすることも可能にすること。私もこの2点は有意義と感じます。つくづく「法律」とは我々を守るためにあるだけはない、ということに今回は驚愕しました。

*補足:2019年に「後見人になりうる家族がいる場合は家族を優先して後見人にする」「使い込み等ない限り辞めさせることができなかった後見人を交代できるようにする」ことが方針として出されました。今後の実績データを追ってみます。

成年後見制度は充分理解を(4)

「成年後見制度の闇」(2018:飛鳥新社)を読んで

本にはたくさんの事例が書かれています。若干誇張があるとしても、現実にありえると思います。ちなみにAmazonの書評では、家族側からの意見が多く「自分も近いことがあった」などの意見が見られる反面、★1も(おそらく同業者?)あります。事例を読んでいて、自分自身恐ろしいと思ったのは、いかに法関係者の権力が強いのか。いったん決まると覆すことが不可能、あるいは異常な努力がいる。結論からいうと「極力成年後見制度は使わない」です(笑)。特に法定後見。私は法定後見は思うように家族がなれないことを理解していましたが、一般の方はまだまだ知らないし、自分はそんなことない、と思っている人が多いのではないでしょうか。高齢夫婦の夫の認知症のために妻が後見人になろうしてなれず、生活資金まですべて弁護士に管理されるようになった例、子どもたち(兄弟姉妹)で意見が分かれ、1人の子が一方的に後見申し立てをして他の子を排除してしまった例、すでに子や親族が後見人としてしっかり報告もして数年経過していたのに、ある時突然家裁から「横領の可能性があるので監督人をつける」と一方的に通知があり、監督人に報酬が発生した例、日常的に子が親の介護をしていたのに「虐待だ」と通報され自治体が一方的に親を措置で連れ去り法定後見人をつけた例、など事例にいとまがありません。普通の日常がある日突然「?!」ということが起こる場合もあるのです。<続く>

成年後見制度は充分理解を(3)

「成年後見制度の闇」(2018:飛鳥新社)を読んで

職業後見人には、おもに弁護士、司法書士、社会福祉士がいます。では、介護や福祉に詳しいか?社会福祉士はもちろん知識はありますが、法律家はかなり難しい。高齢者や障害者の後見をするということは、財産を守ることと身上監護(身体や生活を守る)です。それをその後見人に託していいのか?法定後見の場合は、後見人を申立者が選べません(推薦は可)。職業後見人は家裁にリストアップしてもらい順番待ちをし、適当に順番が回ってくる(?)。自分達の一生がそんなに安易に決まってしまう。後見人は本来、本人や家族と面談や会話をして状況を把握し、本人の権利を守って支援し、年に1度は家裁に報告をすることが仕事。しかし、年に1度の報告(財産管理)のみの人も多いのです。ちなみに私の知人にも職業後見人が数人いますが、彼らは真摯な対応です(その実態は過去にも何度か書きました)。本の中で堀田力氏(さわやか福祉財団、ロッキード事件の弁護士)が弁護士後見について「弁護士はリスクを避けるために施設に入れたがる…中略…成年後見にとって必要な人は、財産管理の専門家ではなく、福祉の専門家。成年後見は福祉の分野であり、本来は法律家でなく行政が担当すべき。やる気のない弁護士を後見につけないよう、国民一人ひとりが自己防衛を図る必要があります(33頁)」と仰っています。<続く>

 

成年後見制度は充分理解を(2)

「成年後見制度の闇」(2018:飛鳥新社)を読んで

私のセミナーでも「後見制度」の話はよくしており、過去にも何度と書きましたし、私は実親の「任意後見人受任者」です。セミナーで話す理由は、万が一親が認知症になって成年後見人が必要となった場合、子がなれないケースが多いため、「事前の任意後見契約がベター」ということをお伝えするため。裁判所のデータが物語っています。本制度が開始した2000年、後見人は子が9割程でした。最近は1割強、他親族を含めても2割強です。ほとんどの人が認知症になってから「法定後見」を家裁に申し立てますが、家裁は子の横領を防止するために、1000万円以上(東京は500万円以上らしい)の金融資産がある場合、職業後見人(弁護士、司法書士等)を任命する。いったん決まると、余程のことがない限り一生続き、全ての権限が後見人に移ってしまう。当然毎月報酬が一生発生。最低でも月2万円。親の年金で子供が世話をしたいと思ってもいちいち後見人にお願いしないともらえない。一般的に職業後見人から生活費10万円という暗黙のルールがあるらしいですが、介護サービスやその他利用で不足する家族がとても多い。問題は①法定後見では家族が後見人になれるケースが少ない、②職業後見人には一生報酬が必要(財産が多いと報酬も増える)、③本人・家族が後見人の許可なくお金やその他を自由にできない。<続く>

成年後見制度は充分理解を(1)

「成年後見制度の闇」(2018:飛鳥新社)

読み始めてから胸がザワザワしました(;´∀`)。考えることが多いので、何回かに分けて記してみたいと思います。まず基本として、とても参考になる内容なのですが、反証も踏まえる必要があります。私もまだまだ制度の勉強を進めようと思います。ただ、この中の事例は、私自身一般人から「大変困っている」と相談を受けたり、知人の後見業務をしている専門家からも業界の問題を多々聞いているので、あながち誇張ではないと思っています。制度トラブルを、本人・家族側から書いた内容ですが、逆に本当に本人・家族にとって第三者の後見人をつけなければ命や生活の質に関わるというケースもあります。100%本の内容を受け取ってしまうと、「後見制度は怖い、悪い」「職業後見人(弁護士や司法書士)は悪徳ばかりだ」となりかねないことは危惧しますが、反面、悪徳後見人及びその周辺を固める裁判所や自治体の「ワナ」にはまると地獄です。それは私自身もリアルに聞いている。と、前置きが長い1回目ですが、何回かに分けてポイントを語ってみます。高齢者ご本人、高齢者を持つ子世代、一読をお勧めです。

 

MCIのさらなる分化

「老年期の心理査定と心理支援に関する研究」(2020:渡辺恭子)風間書房、50

一昨日の続きで話はがらりと変わり、最近一般的になってきた軽度認知障害(MCI)は、研究上さらに分解されて、軽度から重度に移行する傾向がわかってきたようです。アルツハイマー型認知症に移行するのは、MCIでも記憶障害があるタイプがもっとも多いそうです(まあ当然ですよね)。ところが、Non-aMCI(記憶障害がない)タイプでも、アルツハイマー型への移行は多く、レビー小体型や前頭側頭型への移行が推定されるとのこと。うーむ、結局軽度でも重度になる可能性は低くはないということですね。研究データによって若干異なるようですが、MCIから認知症に移行する率は年間10~15%のようです。それにしても、さまざまな認知症スケール(検査)がありますが、私なんかは、どれを試してもボーダーラインに引っ掛かりそうに思いますけど(苦笑)。そんなに検査の内容、覚えてられません(;´∀`)。

老齢期の心理

「老年期の心理査定と心理支援に関する研究」(2020:渡辺恭子)風間書房

タイトルに惹かれて読んでみましたが、認知症に関するメタ分析(多くの研究論文から傾向を統計分析する:ちょっと難しい・苦笑)が中心ながら、興味深い部分もありました。2つに絞って概説してみたいと思います。5年程前に「よくわかる高齢者心理学」(2016:ミネルヴァ書房)を読んで、なるほど!と思ったのですが、高齢期特有の心理傾向があります。心身の機能は衰えていくものの、一方で人間は最後まで「発達」する機能もあります。直感的に賢い判断をすることもあるのですね。「離脱理論」は、心身が衰えた状態で今までの社会的関係を維持していると自尊心は傷つき幸福とは遠い状態になっていまう→社会から離脱して悠々自適な生活を送ることが幸せ。「老害」と言っている政治家さんに理解してほしいところ(笑)。また、もう先は短いとわかっているので、開放的に消費や活動をしていく(いわゆる怖いものなし状態?)。高齢期はどうしても「喪失(人、健康、自立、etc.)」が多いけど、回避する力も備えている。人間ってすごいなって思います。続く。

介護保険料滞納→差し押さえ

昨日の日経朝刊社説に、介護保険料滞納→差し押さえに関する内容がありました。社会保障に対しネガティブな日経の割には(苦笑)、最近社会弱者への課題の内容も見られるようになったと感じます。さて、介護保険料未納の差し押さえ。私も過去に何度かお伝えしてきましたが、2018年には19221人と2万人近くに増加(前年比で20.1%UP)。普通徴収(天引きでなく自分で支払う)は高齢者人口の1割、約340万人にも及ぶとのこと。普通徴収は年金年収18万円以下、つまり月額にすると1.5万円。介護保険料は基本料から所得に応じて低減されますが、被生活保護者でない限りゼロにはなりません。非常に負担が重い。もちろん年金はほとんどないけど事業収入があるという人もいるでしょう。しかしそんな人はごく一部と思われます。我々は普段自分の周辺にいる人が「普通」と思いがち。でも、目立たず実は多くの経済的困難な人が(高齢に限らず)いることを決して忘れてはいけないと感じます。